怪我一考 ~ゴッド・ハンド~

常に付きまとう怪我のリスク。怪我をゼロにすることは、おそらく不可能なので、怪我に見舞われる機会をいかにして最小限にするのか、怪我をしたときにその状態をどうコントロールするのか、いつまでも元気で走り続けるには、怪我に対するリスク管理が重要となってきます。

ランニングを始めたころ、両膝が腸脛靭帯炎、いわゆるランナー膝になってしまいました。

今から6年前、本格的にトレーニングを開始して半年ほど経過したある日のこと、35kmのロング走の終盤で信号が赤から青に変わって足を出した瞬間、右ひざの外側に激痛が走り、一歩も動けなくなってしまいました。生まれてこの方経験したことのない痛みです。その場で30分ほどマッサージを試みたのですが、痛みは一向に治まらず、もはや歩いて家に帰るのは不可能でした。

なんとかタクシーをつかまえて家に帰りましたが、このときはさすがに再起不能が頭をよぎりました。ネットで色々調べてみても、アップされている情報はネガティブなものばかり。この後しばらくは、少し回復しては走り、走ってはまた痛めるの繰り返し。結局、完治に51日かかりました。

右ひざが治った喜びもつかの間、どうも左ひざの調子が良くありません。歩いているときもそうですが、じっとしていても痛いのです。当時の練習記録を見ても、「左ひざが痛くなり1kmでリタイヤ」「(予定ではランニングであるにも関わらず)7km walking」等、3週間ほど思うように走れない状態が続きました。

更に悪いことに、痛みを押して出場したハーフマラソンが致命傷になりました。レース終了後にストレッチをしていると、じわじわと膝の痛みが襲いかかり、やがて歩けないほどの激痛となりました。駅までは左足を引きずりながらのよちよち歩き。少しでも膝を曲げるとこれまでに経験したことがないような痛みが襲ってきます。夜中、寝ている最中にあまりの痛さに目が覚めてしまいました。寝返りも打てません。翌朝は更に大変なことに。トイレに腰掛けられない、靴下がはけない、ズボンもはけない。歩く姿はまるで生まれたばかりの赤ちゃんペンギン。

右ひざで一回経験しているので、悲観的になることはなかったのですが、走れない日々はやはり不安でした。結局、完治までは右足と同じ51日かかりました。

出典 「ひざの痛み」全解説 

その後は大きな怪我に見舞われることなく今日に至ります。怪我なく走り続けられているのは、定期的にプロの方にマッサージしてもらっていることが要因の一つではないでしょうか。チーム・エモやんのメンバーで、神戸で開業されている整体療術士のMさん。Mさんには私が走り始める1年前からお世話になっています。

小さい体のどこにそんな力があるのかと思うほど、Mさんは容赦なくグイグイ攻めてきます。施術中は涙が出るほど痛いのですが、翌日にはウソのように身体が軽くなっています。まさに、ゴット・ハンド。今日まで元気に走り続けられたのは、Mさんのおかげです。

Mさんからは色々なことを教わりました。

あるとき、ランニングシューズのインソールなしで15kmを走ってしまい、左足の甲を痛めてしまうという大失態を犯してしまいました。ネットで調べると「モルトン病」の症状に似ています。

Mさんに「ひょっとしたらモルトン病になってしまったかもしれません」と連絡を入れたところ、「すぐに病名を付けると、治るものも治りませんよ」とお叱りを受ける始末。幸い甲の痛みは数日で治まりましたが、この一言は怪我に対する考え方を改める良いきっかけになりました。

「ランニングをするうえで大事なのは、現実を受け入れる素直さと、それを気のせいだと自分にウソがつける柔軟性を持つこと、自分の強さを信じ抜き、ときには強さを演じられること」これは以前の投稿に登場した岩元能史さんの言葉です。

Mさんや岩本さんに影響を受け、走っていないとき(普段の生活)において多少の痛みがあろうとも、あえて気にせず無視し、万全の状態であると脳をだますことにしました。痛みを気にするのは走るときだけ。走っているときも脳をだますことができるようになれば完璧です。このように考え方を改めてからというものの、日常生活で身体の痛みが気になることはほとんどなくなりました。

とはいうものの、やがて、脳をだますのにも限界があることを知ることになるのですが、それはもう少し先のことです。

ランニングフォームも見直しました。単純なことですが、体の真下で着地する、丹田を意識し、骨盤を立てた状態で体をやや前掲させ、腕の振り(肩甲骨の動き)がそのまま足の動きに連動するようにする。足で走るのではなくお尻で走る等など。テレビで見る一流のランナーは、身体全体が流れるように自然に走っていますが、少しでもあの走りに近づきたいものです。

さて、定期的なマッサージや、ランニングフォームの改善、筋力アップ等のおかげで、その後は大きな怪我もなく元気に走り続けています。

100歳まで怪我無く元気に走り続けるためには、あと何が必要でしょうか。

気力? 体力? 時の運? 答えを探しながら今日も走ります。

いつまでも楽しく、元気に、
笑顔で走り続けられますように

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