本屋大賞2021 その2
やっと全部読み終えました。お待たせしました。本屋大賞2021残り5作品の紹介です。
・犬がいた季節 伊吹有喜
内容(「BOOK」データベースより)
ある日、高校に迷い込んだ子犬。生徒と学校生活を送ってゆくなかで、その瞳に映ったものとは―。12年間、高校で暮らした犬、コーシローが触れた18歳の想い―。昭和から平成、そして令和へ。いつの時代も変わらぬ青春のきらめきや切なさを描いた、著者最高傑作!
未来への不安と期待を胸に、現実と夢の狭間を行ったり来たりしていた18歳の私。この本を読んで、あの頃のほろ苦い青春を思い出しました。
・オルタネート 加藤シゲアキ
内容(「BOOK」データベースより)
高校生限定のマッチングアプリ「オルタネート」が必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、若者たちの運命が、鮮やかに加速していく。恋とは、友情とは、家族とは。そして、人と“繋がる”とは何か。デジタルな世界と未分化な感情が織りなす物語の果てに、三人を待ち受ける未来とは一体―。“あの頃”の煌めき、そして新たな旅立ちを端正かつエモーショナルな筆致で紡ぐ、新時代の青春小説。
作者は男性アイドルグループ・NEWSのメンバーの加藤君。読む前はそんなに期待していなかったのですが、見事に裏切られました。冒頭から最後まで、見事に練り上げられたストーリーに脱帽です。
・自転しながら公転する 山本文緒
内容(「BOOK」データベースより)
東京で働いていた32歳の都は、親の看病のために実家に戻り、近所のモールで働き始めるが…。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなの無理!誰もが心揺さぶられる、7年ぶりの傑作小説。
NHKの「あさイチ」で紹介されていたときから、今の自分に響くかなあと感じていたのですが、読んでみてその予感は当たりました。面白かったのですが、物語の世界に入ってくことは出来ませんでした。
・逆ソクラテス 伊坂幸太郎
内容(「BOOK」データベースより)
逆境にもめげず簡単ではない現実に立ち向かい非日常的な出来事に巻き込まれながらもアンハッピーな展開を乗り越え僕たちは逆転する!無上の短編5編(書き下ろし3編)を収録。
さすがは伊坂孝太郎、なんとも言えぬ読後のスッキリ感に浸ることが出来ました。拍手喝采、物語はこうでなくっちゃ。
・この本を盗む者は 深緑野分
内容(「BOOK」データベースより)
書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、深雪は残されたメッセージを目にする。“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”本の呪いが発動し、街は物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り元に戻らないと知った深冬は、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れて―。
エントリー10作品の中で唯一のファンタジー。ちりばめられた謎が最後には全て解き明かされ、読後感は良かったです。
前回の投稿で紹介した5作品を含め、いよいよマイ・ベスト10の発表です。
1位 逆ソクラテス
2位 オルタネート
3位 犬がいた季節
4位 お探し物は図書室まで
5位 この本を盗む者は
6位 52ヘルツのクジラたち
7位 自転しながら公転する
8位 滅びの前のシャングリラ
9位 八月の銀の雪
10位 推し、燃ゆ
評価のポイントは、「物語のおもしろさ」「物語の世界に自分を投影できるかどうか」「もう一度読み返したいかどうか」「読後感の善し悪し」といったところです。1位となった「逆ソクラテス」はこの条件を全て満たします。
物語の主人公は小学生なのですが、先入観をひっくり返すというテーマが全編に貫かれており、56歳の私が読んでも胸に刺さるセリフが沢山ありました。気に入ったセリフをメモしながら、もう一度読み返してみたいですね。
さて、実際に本屋大賞をとるのはどの作品でしょうか。
ずばり、オルタネートでしょう!
結果は4月上旬に発表されます。はてさて、この予想は当たるでしょうか。お楽しみに!