レースプランを立てましょう 数学教師2
問題
下の表は前回(2019年)のびわ湖周遊ウルトラマラニックを完走したときの記録です。これを参考にして、9月11日・12日に行なわれる今回のレースプランを立ててください。制限時間は2時間です。
答え
数字だけではイメージを掴みにくいので、まずはビジュアル化します。
横軸を距離(km)、縦軸をペース(分/km)として、グラフを描いてみます。
今回のレースもこの通りに走れば、制限時間(32時間)内にゴールは出来ますが、区間ごとのペースのアップダウンが激しく、これをもってレースプランとするには少し無理があります。
このグラフを近似式で表せれば良いのですが、階段状のグラフの近似式を計算するのは難しいので、区間の中間点をとって、それを直線で結んでみます。下のグラフの青●が中間点です。
それをつなぐと下のような折れ線グラフになります。距離が進むにつれ、ペースが落ちていることがよくわかります。
この折れ線グラフを相関係数が最も高くなるように近似曲線を選んでやると、Yをペース、Xを距離として、次のような3次曲線で近似することが出来ます。下のグラフの赤い線です。
Y=0.000004X3-0.0012X2+0.1078X+6.1101 (Xの後ろの3、2はそれぞれ3乗、2乗という意味です)
この式のXに、各チェックポイントの中間地点の距離を代入して、各区間の平均ペースを求め、そこから各チェックポイントの到着予定時間を計算します。その結果は下表の通りですが、各チェックポイントで7分間休憩すると想定しています。
ペースが極端に乱高下することもなく、前回の通過時間と比べても大きな違和感はないため、これで完成としても良いのですが、2年前と比べた今の走力や練習量、気温の違い(前回は5月、今回は9月)などを考慮して、補正を行なっていきます。
最初の区間は、キロ当り6分37秒となっていますが、信号待ちの時間を考えると、実際はキロ6分を切るペースが必要です。最近の練習状況から、キロ6分を切るペースは明らかに飛ばしすぎなので、ここはペースを落とす必要があるでしょう。
100キロ以降で、キロ8分40秒台となり若干のペースアップになっていますが、今の走力では100キロ以降のペースダウンは必至で、ここも調整の余地ありです。とはいえ、ゴールの制限時間は32時間(16時)と決まっていますので、それをにらみながら、ああでもない、こうでもないと頭を悩ませるのですが、実はこの作業はけっこう気に入っており、超ウルトラマラソンの醍醐味の一つではないかと密かに思っています。
こうして出来上がったのが下のレースプランです。完璧です。今考え得る最高のレースプランとなりました。
とはいえ、今までにレースプラン通りに走れたことは一度もなく、ほぼ全てのレースで、途中からはこのペース表を全く見なくなります。前回、完走できたときもそうでした。途中からは、考えるよりも身体が動くがままに任せ、ペース配分は一切考えませんでした。出走者19人中、完走は8人という厳しいレースだったのですが、うまくいくレースは得てしてこんな感じで、身体が頭を凌駕するのです。これもまた超ウルトラマラソンの面白いところですね。
後は、レースが無事に開催されることを祈るばかりです。結果はレース後にアップしますのでお楽しみに!