夢グレ③ 下見編その2 法隆寺~嵐山

今回は夢グレ下見走イベントの2回目、法隆寺から嵐山までの約110kmです。

下見走で110kmなんて、、、初めてこの下見走に参加したときは、かなりの覚悟を持って臨みましたが、5度目ともなると勝手知ったるものです。さて、今回はどんな楽しいことが待ち受けているのでしょう。例年ですと110kmのほとんどは走らずに歩くため、嵐山到着は翌日の14時ごろ。約30時間の行程となります。

地図で見ると距離を感じませんが・・・
アップダウンはそこそこあります

10月17日(土)、法隆寺駅前に集合。

台風の影響で一週間延期されましたが、あいにくこの日も雨、それもしっかり降っています。

話は少しそれますが、私は「雨男」なのかもしれません。レース中、雨に、それもゲリラ豪雨級の雨に見舞われたことも何度かありました。宮古島(沖縄)の一周レースでは、翌日の地元新聞に取り上げられるほどの豪雨でした。4年前の夢グレの下見走のときも、豪雨により途中で解散し、翌朝再スタートをしたこともありました。チーム・エモヤンのMさん(第6回の投稿に登場したゴッドハンドの持ち主、実は超「晴れ女」)にも、「さすが雨男ですね」とよくからかわれたものです。

さて、下見走に戻ります。

レース本番では法隆寺が最初の関門となり、17時30分までに到着しないと失格になります。スタートから法隆寺までは63km。これを10時間30分以内に到着すれば良いわけですから、普通に考えれば楽勝ペース(10分/km)かと思いますが、これがなかなかの曲者で、参加者の皆さんは異口同音に「法隆寺の関門が一番厳しい」と言います。

私自身も過去4回の出場で、法隆寺の関門はいつもぎりぎりの通過でした。やはり、ここに至るまでの金剛山、葛城山が大きな壁であることは間違いありません。

レース本番(11月)では、法隆寺を通過するころには夜の帳が下りはじめ、辺りは漆黒の闇に包まれます。場合によっては、前後に誰もおらず一人寂しく走ることもあり、まさに孤独との戦いとなります。とはいえ、この日は「楽しい」下見走。10人の参加者は和気あいあいと、ほとんどハイキング状態です。

標高315mの松尾山を越え、矢田寺へ。平城京跡や宇治の平等院を経て笠取の峠まで、延々50kmほどのロードを走ります。

宇治に差し掛かるころになると辺りは暗くなり、ヘッドライトを灯しながらの楽しいナイトランのスタートです。昼間降り続けた雨もようやく上がり、いい年をしたおっさんたちも、次第にテンションが上がり始めます。

ところで、前々回の投稿にも書きましたが、このコースは途中に「出る」ポイントが一か所あります。西笠取から大津に向かう四つの峠のどこかと、あえて場所は明かしませんが、そのポイントのみならず、丑三つ時の峠越えは冗談抜きで怖いです。レース本番で一人ぼっちになりませんようにと、心の底から祈るばかりです。

峠を越え石山寺へ。ここはレース本番では二つ目の関門となり、制限時間は朝の5時。スタートから94km、22時間がリミットです。

4年前、初めて夢グレに参加したときは94km地点の山城大橋でリタイヤしました。預けた荷物を受け取るために石山寺までタクシーで向かったのですが、石山寺に到着したのが夜中の2時過ぎ。荷物を積んだサポートの車が到着するまで、閉ざされた門の軒下でガタガタ震えながら膝を抱えて待っていたことを思い出しました。そういや、あの時も雨が降っていたっけ。

ここからは瀬田川に沿って琵琶湖まで向かい、大津まで琵琶湖畔を走り、小関峠を経て京都の大文字山に向かいます。

山科駅近くの琵琶湖疎水に沿った遊歩道の入り口近くにローソンがあり、例年ですとここで夜が明けるまで朝食を兼ねた休憩をとるのですが、今回は早々に切り上げて、大文字山に向かってスタートしました。

一昨年の台風19号の影響でなぎ倒された木々がトレイルのコースを遮り、まるでアスレッチクのような状態に四苦八苦しながらも、なんとか山頂に到着。眼下には京都市内の街の明かりが鮮やかに浮かび上がり、皆さんの口から思わず感嘆の声が上がりました。登頂の苦労が一気に吹っ飛ぶほどの鮮やかな夜景でした。

大文字より京都の夜景を見下ろす

大文字山から下山して、残り20kmのラストスパート。銀閣寺、金閣寺、仁和寺を経由して、嵐山の渡月橋に無事ゴール。

時刻は8時45分。なんと、例年より5時間近く早いゴールです。山科での日の出待ち休憩を取らなかったこともありますが、今回はN島さんとN谷さんの両スーパーウルトラランナーが先頭を走ってグイグイ引っ張ってくれたことが時間短縮の大きな要因でした。

N島さんは以前の投稿でも紹介しましたが、東京から大阪までの「飛脚」レースの唯一の完走者であり、一昨年の夢グレ優勝者。N谷さんは太陽の道ウルトラマラニックを2年連続で優勝された方で、勿論、夢グレも完走されています。

お二人に日頃のトレーニング方法を伺ったのですが、スピード練習重視のN島さん、距離重視のN谷さんという、異なった考え方や方法は非常に参考になりました。

N島さんは一度に走る距離は5km程度と、ウルトラランナーとしては驚くほど短いものです。但し、走るスピードは全力で、しかも5km走り切った後、もう3km頑張って走り切るのがポイントで、きつい状態で最後の3kmを走ることによって走力や体幹が鍛えられるとのことです。走り切った後は、立っているのが難しいほどフラフラになるそうです。「キツイ練習をしないと練習の意味がない」、なんというストイックな方なのでしょう!

N谷さんは、夢グレに出場するにあたって、朝10kmと夜10kmのトレーニングを毎日欠かさずに行うことを、自らに課したそうです。それを実行することで、夢グレを走り切る自信に繋がったと仰っていました。

さて、「普段、どんなトレーニングをされていますか?」と聞かれたら皆さんどう答えますか。

私なら・・・

「そうですね、計画は立てるのですが、疲労が残っているとか、今日は会社で大事な打合せがあるとか、暗いときに走ると躓いてコケてしまうとか、考えうる限りの言い訳を頭の中でひねり出し、よく練習をサボりますね。長い距離を走ろうと決めていても、しんどくなって途中でやめてしまうことは日常茶飯事です。」

この調子では、夢グレ完走は夢のまた夢ですね。

さて、次回は下見走の最終回、六甲山&摩耶山です。お楽しみに!

嵐山渡月橋に無事ゴール 日本100マイルクラブHPより

Follow me!

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です